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1.法定休日に8時間労働させたが、代休を与える必要があるか。 |
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3割5分増しを支払う法定休日を日曜日とし、その他の休日(土曜日、祝日など)を2割5分増しとしている。労基法では毎週少なくとも1回の休日を与えなければならないことになっているので、法定休日と定めた日曜日に丸1日(8時間)労働させた場合には、以後代休を与える必要があるか。 |
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いいえ。代休は法律上認められているものではなく、労働協約や就業規則の定めによって認められるものです。3割5分増しを支払う法定休日を日曜日と定めていますので、日曜日の労働には135%の割増賃金を支払わなければなりません。休日労働の割増賃金を支払う代わりにその休日は消滅しますから、代休を与える法的な義務はありません。また代休を与える旨の定めがなければ、代休を与える必要はありません。なお、現に行われた休日労働が代休を与えることによって、休日労働でなくなるものではありません。 |
2.1年勤務のパートを正社員にしたが、年次有給休暇(年休)の基準日はどうなるか。 |
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パートタイマーとして1年以上勤務した人を4月から正社員として採用した。1日の勤務時間は5時間30分から8時間に、賃金は時間給から月給に変わった。パート当時も週5日勤務だったので、6ヶ月勤務した時点で10日の年休を与えたが、今後は正社員として6ヶ月、1年6ヶ月・・・を経過した時点で年休を与えることになるのか。 |
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いいえ。年休の勤務年数は、パートタイマーの勤務期間と正社員となってからの勤務期間を通算し、通算した勤務年数に応じた日数の年休を与えなければなりません。すなわちパートタイマーとして採用された日を起算日として、6ヶ月、1年6ヶ月、2年6ヶ月・・・と区切り、8割以上の出勤を条件に、その通算した勤務年数に応じた日数の年休を与えることになります。 |
3.半日年休は、単純に午前と午後に分けてもよいか。 |
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就業時間は午前9時から午後5時30分(休憩正午から1時間)となっている。半日年休は、単純に正午を境に午前と午後に分けてもよいか。また午前中に半日年休を取得した者が、午後1時の勤務開始時間に40分遅れて午後1時40分に出社した。40分の遅刻として賃金カットしてよいか。 |
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はい。年休を半日単位で付与するに当たって就業時間のどの時刻を中心に前半と後半に分けるかは、労使間の合意によって決めるべきものです。必ずしも前半と後半が同じ時間になるように分割する必要はありません。上記の就業時間の場合、昼休みの休憩時間を考え、午前(3時間)、午後(4時間30分)に分けるのが一般的です。これにより午後1時の勤務開始時刻に40分遅れて、出社したということは、40分の遅刻をしたことになり、相当する賃金を差し引くことができます。余談ですが、年休は1労働日を単位とするものであり、使用者は労働者に半日単位で付与する義務はありません。よって、半日単位の年休の請求があっても、それに応ずる義務はありませんが、労使間の合意により半日年休制度を設け、半日単位で与えることにしても差し支えはありません。 |
4.病気休職期間の満了前に、残った年休を請求されたら与えなければならないか。 |
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従業員Aが、私病のため休職となっている。病気休職期間は1年で、平成17年2月20日をもって休職期間が満了する。現在では、復職は不可能なため退職扱いとなる見込みです。Aは、10日間の年休を残しているが、休職期間が満了する2月20日までの間に本人より請求があった場合、年休を与え、賃金を払わなければならないか。 |
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いいえ。病気休職期間は、休日のように全労働者に画一的に定められたものではなく、就業規則に定められた所定事由が発生した労働者に、所定の手続きを経て個別に決定されるものですが、休職となったときはその期間中は完全に労働義務が免除され、使用者としても就労を要求しないことが明らかにされている期間ですから、所定休日と同様に、この期間中は年休をとる余地がありません。したがって休職者が年休を請求してきたとしても、それを拒否し、年休を与える必要はありません。 |
5.年休の繰越分と新規付与分がある場合、消化する順序はどうなるか。 |
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年休の消化順序として、前年の繰越分を先に消化し、次にその年度に発生した日数に移る方法と、その年度に発生した日数を先に消化し、次に繰越分を使う方法があるようだが、法的にはいずれの方法によって処理するのが正しいのか。 |
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前年度の繰越分かその年度分のいずれを使ったことになるかという年休の消化順序については、労基法には何らの規定もありません。労働協約や就業規則に定めがあれば、それによります。定めがなくても労使間の合意や取り決めがあればそれによります。この合意や取り決めもない場合、厚生労働省では「労働者の時季指定権行使は繰越分からなされていくと推定すべき」としていますので、繰越分から消化させていくことになります。 |